企業会計原則の性格と成り立ちの基礎

企業会計原則(きぎょうかいけいげんそく)とは、昭和24年(1949年)に当時の経済安定本部企業会計制度対策調査会によって設定された会計原則をいい、現在においても企業が会計を行うえで準拠すべき基準として重要な地位を占めるものとなっています(ただし制定後70年近い年数がたっており、新しくできた会計基準などにより、必ずも現在の制度会計において適用されないものも多く含まれます)。

1.企業会計原則の性格

企業会計原則の性格について、経済安定本部企業会計制度対策調査会は設定当時において次のように定めています。

1 企業会計原則は、企業会計の実務の中に慣習として発達したもののなかから、一般に公正と認められたところを要約したものであって、必ずしも法令によって強制されないでも、すべての企業がその会計を処理するのに当たって従わなければならない基準である。

2 企業会計原則は、公認会計士が、公認会計士法及び証券取引法に基づき財務諸表の監査をなす場合において従わなければならない基準となる。

3 企業会計原則は、将来において、商法、税法、物価統制令等の企業会計に関係ある諸法令が制定改廃される場合において尊重されなければならないものである。

2.企業会計原則の構成
企業会計原則は「第一 一般原則」「第二 損益計算書原則」「第三 貸借対照表原則」および「注解」から構成されています。
このうち一般原則は企業会計全般に関する基本的な原則を規定し、損益計算書原則及び貸借対照表原則はそれぞれ損益計算書や貸借対照表の作成に関する原則となっています。

一般原則

企業会計原則のうち、企業会計全般に関する基本的な原則である一般原則には以下の7つの原則が規定されています。

1.真実性の原則 企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実の報告を提供するものでなければならない。
2.正規の簿記の原則 企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計帳簿を作成しなければならない。
3.資本利益区分の原則 資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。
4.明瞭性の原則 企業会計は、財務諸表によって、利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない。
5.継続性の原則 企業会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。
6.保守主義の原則 企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない。
7.単一性の原則 株主総会提出のため、信用目的のため、租税目的のため等種々の目的のために異なる型式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない。

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