資本・利益区分の原則とは(企業会計原則・一般原則)

企業会計原則第一 一般原則・三 資本利益区分の原則

資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。

資本取引とは、株主や出資者からの出資や資本の払い戻し等、資本(純資産)を直接的に増減させることを目的とする取引をいいます。
損益取引とは、日々の売上や諸経費の支払など、企業の事業活動(利益を生むための活動)を行うにうあたって発生する取引をいいます。損益取引により計上された利益は利益剰余金の増加により企業の純資産を間接的に増加させます。

上記のように、資本取引と損益取引はともに企業の純資産を増減させる効果をもたらしますが、企業が適正な期間損益計算(毎年いくら儲かったの計算)を行い、企業がどのくらいの収益獲得能力(企業の利益獲得能力)があるのかを知るためには、企業が利益獲得のためにおこなう損益取引と、株主からの出資などの資本取引は明確に区分しておく必要があります。株主からの出資は企業の純資産を増加させるものではありますが、これは企業の本業としての利益を表すものはなく、これらを混同した場合、企業がいくら利益を獲得したか、あるいはどのくらいの収益力があるのかを把握することは困難となるからです。

資本剰余金と利益剰余金

資本剰余金は、資本取引から生じた剰余金をいい、いっぽう利益剰余金とは損益取引から生じた剰余金、すなわち利益の留保額をいいます(企業会計原則注解・注2参照)。

前者は株主が拠出した資本を原資とするものであり、企業がその活動を行うために投下され、その活動を継続するために企業内に維持拘束することが求められるもの(いわば)であるのに対し、後者は企業活動の成果(いわば果実)として得られるものであり、果実として分配することが可能なものであるといえます。

このように、資本剰余金と利益剰余金は共に純資産として計上されるものですが、両者の性質は全く異なるもの(樹と果実)であり、もしこれを混同した場合、企業活動を存続させるために必要な資本を分配することになり、企業活動の継続を阻害することになりかねません(樹を切り倒すことになってしまいます)。したがって資本剰余金と利益剰余金とを混同しないようにすることが求められています。

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