保守主義の原則とは(企業会計原則・一般原則)

企業会計原則第一 一般原則・六 保守主義の原則

企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない

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保守主義の原則はなぜ必要か?

上記のように、保守主義の原則は企業により慎重な会計処理を要請する原則です。
保守主義の原則が必要とされるのは、企業を取り巻く経営環境は刻一刻と変化し、そのような状況のなかで、企業は長期にわたって健全に経営・存続していくことが求められるためです。
保守主義の原則を順守せず、過大な利益の計上することは、企業の資産の社外流出を招き、企業財務の健全性が損なわれ、その存続を危うくしかねません。

ただし企業会計では、予測される将来の危険に備えて慎重な判断に基づく会計処理をおこなわなければなりませんが、過度に保守的な会計処理を行うことは、企業の財政状態及び経営成績の真実な報告をゆがめることとなり認められるものでありません(企業会計原則注解 注4参照)。

保守主義の原則の適用例

例えば減価償却費の計算法について、定額法のほか定率法の採用も認められています。定額法は固定資産の耐用年数にわたって同額の償却費を計上する方法であるのに対し、定率法は耐用年数の初期により多くの金額を償却費として計上する方法です。定率法を採用し、固定資産への投資の初期段階により多くの償却費を計上することは、未だ収益性の定かではない固定資産の投資の初期段階において企業資金の社外への流出を抑えることを意味し、保守主義の原則の適用の一環といえます。
このほか、割賦販売における回収基準・回収期限到来基準の採用、棚卸資産の期末評価における低価法の採用なども保守主義の原則適用の一環といえます。

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