小口現金(こぐちげんきん)とは、日々の少額な経費の支払いに備えて社内に備え置かれた現金のことをいいます。
小口現金を使って経費の支払いを行った時は小口現金が減少するのですが、小口現金は実務処理や経理処理をより簡略化するための制度ですので現場で小口現金を使用してもその都度ごとに経理に報告して小口現金の仕訳をおこなうことはありません(使用のたびに経理部への報告し、経理部で帳簿をつけるのは手間がかかりすぎます)。
小口現金の使用は1週間に1度や1か月に1度など、その期間の使用額をまとめて経理部に報告し、経理担当者はその期間の使用額をまとめて帳簿に記帳します。
たとえば、小口現金の管理者より当月の小口現金の使用として、文房具1,000円とタクシー代1,200円を支払ったと報告を受けた場合の仕訳は、その期間の仕訳を以下のようにまとめて行います
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
事務用消耗品費 | 1,000 | 小口現金 | 2,200 |
旅費交通費 | 1,000 |
経理担当者は小口現金の使用報告を受けて、その使用報告に基づいて帳簿に仕訳を記帳します。
その後(もしくは報告と同時に)経理部は報告を受けた使用金額と同額の現金を小口現金担当者に渡して小口現金を補給します。
この補給により小口現金の残高が維持されることになります。
このように小口現金をあらかじめ前渡し、その後は使用分を順次補充することにより小口現金の残高を維持することを定額資金前渡法(インプレスト・システム)といいます。
上記の設例において、経理担当者が小口現金の管理者にその期間の使用分2,200円を渡して小口現金の補充を行った時の仕訳は以下の通りとなります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
小口現金 | 2,200 | 普通預金など | 2,200 |
では問題形式で小口現金使用時の仕訳を問われた場合の解答をみていきましょう。
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小口現金の補充時の仕訳例(インプレスト・システム)
1.弊社では定額資金前渡法(インプレスト・システム)を採用しており、経理部は小口現金管理者に対し事前に10,000円の現金を前渡している。
経理部は月末において小口現金の管理者から今月の小口現金の使用分として以下の報告をうけた。
報告を受けた際に必要な経理部の仕訳を示しなさい。
文房具:2,000円
備品・消耗品:1,800円
新聞購読料:3,000円
電車バス代:500円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
事務用消耗品費 | 2,000 | 小口現金 | 7,300 |
消耗品費 | 1,800 | ||
新聞図書費 | 3,000 | ||
旅費交通費 | 500 |
2.経理部は当月の小口現金の金額7,300円を小切手を振り出して小口現金の管理者に手渡した。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
小口現金 | 7,300 | 当座預金 | 7,300 |
小口現金の当月の使用額7,300円と同額の補充を受けることにより、小口現金の残高は再び10,000円(最初に決めた定額)となり翌月の支出のために備えられます。
(このページと関連するページ)
小口現金の前渡し時の仕訳の基礎