継続性の原則とは(企業会計原則・一般原則)

企業会計原則第一 一般原則・五 継続性の原則

企業会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。

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継続性の原則はなぜ必要か?

継続性の原則が問題となるのは、1つの会計事実について複数の会計処理の選択適用が認められる場合です。1つの会計事実について複数の会計処理が認められるということは、企業にとってその時々に応じて都合の良い会計処理を適用することができると考えることもできますが、そのようなことを無制限に認めた場合、会計処理の選択による利益操作を無制限に放任することになってしまうことになります(利益操作の可能性)。また、今年と去年の会計処理が異なるということは、たとえ今年の業績と去年の業績とを同じ土俵で比較(期間比較性を害する可能性)することができなくなり、これでは利害関係者にとって企業のもたらす財務情報の有用性を著しく害することになるといわざる得ません。

継続性の原則を順守するとどうなるのか?

継続性の原則では、たとえ1つの会計事実について複数の会計処理の選択適用が認められる場合であっても、いったん採用した会計処理はその後も毎期継続して適用することを求めています。企業がこの原則を順守することにより、会計処理の選択による利益操作を排除し、異なる会計年度の財務数値の比較を同じ土俵で行うこと(期間比較性の確保)が可能となります。

会計処理は必ず毎期継続する必要があるのか?

上記の通り、利益操作の排除や財務数値の期間比較性の確保のため、継続性の原則を順守することは重要な意味を持ちます。
ただし、企業がいったん採用した会計処理などは継続性の原則により必ず毎期継続適用し、変更は一切認められないのか?というとそうではありません。
例えば会計原則や会計基準、税法などが改正されれば、その改正に従って企業の採用する会計処理も変更する必要があるかもしれません。
また、企業を取り巻く経営環境や経営目的、あるいは企業規模などの大きな変更があれば、それまでの会計処理では企業の財務情報を適切に表示できなくなることもあるかもしれません。これらのような理由(正当な理由といいます)がある場合には会計処理の原則や手続きを変更することが可能となります(なお正当な理由によって、会計処理の原則又は手続に重要な変更を加えたときは、変更の事実を利害関係者に知らしめるため、財務諸表に注記することが必要となります。企業会計原則注解・注3参照)。

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