外貨で売掛金を回収した時の仕訳の基礎(外貨建取引)

商品を販売した際に計上された売掛金は、代金の回収時においてこれを減額することになりますが、外貨建取引で商品を売り上げた際に計上された売掛金はドルやユーロなどの外貨建となっていますので注意が必要となります。

具体的には、商品を売り上げた際の売掛金は商品販売時の為替レートで換算し、代金を回収した時の売掛金は代金回収時の為替レートで換算して仕訳を行います。商品販売時と代金回収時の為替レートは通常は異なる金額となりますので、この2つの金額には差額は発生します。これを代金回収時の損益(為替差損益)として処理することになります。

1.商品販売時

借方 金額 貸方 金額
売掛金 売上時のレート 売上 売上時のレート

2-1.代金回収時

借方 金額 貸方 金額
現金 回収時のレート 売掛金 売上時のレート

売上時のレートで換算した金額と代金回収時のレートで換算した金額との差額=損益(為替差損益)

2-2.代金回収時-為替差損益の計上

借方 金額 貸方 金額
現金 回収時のレート 売掛金 売上時のレート
為替差損益 差額

下記具体例で数字を使ってご確認ください。

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1.商品の売上時の仕訳

たとえば、商品を30ユーロでヨーロッパの得意先に販売し、代金は後日回収する(販売代金は回収時まで売掛金として計上する)としたとしましょう。商品販売時の為替レートが1ユーロ120円であった場合、商品販売時には次のような仕訳を行います。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 3,600 売上 3,600

取引の金額が外貨で表示されている取引(外貨建取引)の仕訳の基本は、外貨建の取引金額を取引時点における為替レートを使って日本円に換算し、円貨で仕訳することです。
上記の商品の売上代金(売掛金)30ユーロは商品販売時における為替レート1ユーロ120円で日本円で換算して仕訳することになります。商品代金30ユーロを販売時の為替レート(@120円)を使って日本円に換算する際の計算は

30ユーロ×@120円=3,600円

となりますので、商品売上時の仕訳は3,600円を使って上記のように記帳することになります。

2.代金回収時の仕訳

次に、この外貨建ての売掛金30ユーロを現金で回収した時の仕訳を考えてみましょう。売掛金はユーロ建て金額ですので、これを現金(ユーロ)で回収した時は日本円に両替して日本円を得ることができることになります。この両替は代金を回収した時のレートで行いますので、仮に代金回収時の為替レートが1ユーロ110円であった場合には、いったん次のように仕訳をすることになります。

借方 金額 貸方 金額
現金 3,300 売掛金 3,600

代金を回収した時の為替レートは1ユーロ110円です。このレートを使って回収した現金30ユーロを日本の現金に両替することにより、売り主は日本円で代金を回収したことになりますので、売り主の回収した現金を次のように計算します。

30ユーロ×@110円=3,300円

なお、上記の仕訳では借方と貸方の金額が一致しておりません。これは商品売上時と代金回収時の為替レートの変動によって発生した差額です。
すなわち、帳簿に計上されている売掛金30ユーロは商品販売時の為替レート(1ユーロ=120円)で換算されていますので、代金回収時の為替レート(1ユーロ=110円)で換算した上記の現金回収金額3,300円と比べて差額が発生します。

上記の仕訳でも向かって左(借方)の現金の増加額が3,300円となっているのに対し、向かって右(貸方)の売掛金の減少額が3,600円となっており、貸借で300円の差額が発生しています。
この差額こそが商品販売時と代金回収時との為替レートの差によって発生した差額であり、外貨建取引の仕訳ではこの差額は「為替差損益」という代金回収時の損益として処理します。

為替差損益は左(借方)に出ると費用、右(貸方)に出ると利益となります。上記の仕訳では貸借の金額を合わせるために左側に
「為替差損益 300円」が入りますので、300円の費用が発生したことになります。

借方 金額 貸方 金額
現金 3,300 売掛金 3,600
為替差損益 300

上記の為替差損益を向かって左(借方)に入れることにより、左右の金額の合計が一致します。為替差損益は代金の回収時・決済時に発生する損益となります。

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