外貨建てで固定資産を購入した時の仕訳の基礎(未払金の決済)

外国から購入(輸入)するものは商品だけとは限りません。例えば機械や車両などの固定資産をドルやユーロなどの外貨建てで購入することもあります。
ここでは固定資産を外貨で購入した時、さらに外貨で購入した資産の減価償却や代金の支払いはどうすればいいのかなどを見ていきます。

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1.外貨建てで固定資産を購入した時の仕訳

外貨建てで固定資産を購入した時の仕訳も仕入取引や売上取引の発生時と同様に原則として、その取引発生時点の為替レート(為替相場)を使って外貨を円貨に換算してやることになります。

例えばアメリカの業者から100ドルの機械を輸入したとしましょう。この機械の輸入時における為替相場が1ドルあたり100円であったとした場合、この機械の円貨での購入金額は以下の式によって求められます。

機械の購入価格:100ドル×@100円=10,000円

したがって10,000円の機械を購入したものとして仕訳を切ればよいことになります(機械の代金は後払いであるものとしています)。

借方 金額 貸方 金額
機械 10,000 未払金 10,000

機械の取得金額は10,000円で確定しますので、その後の減価償却費の計算もこの10,000円をベースとして計算していきます(減価償却費の計算につきましては「外貨建で取得した固定資産の換算と減価償却費」も併せてご参照ください)。

なお機械の代金は後払いですので「未払金」として処理します。未払金は将来に現金の支出を伴う項目ですから、決済時など為替相場の影響をうけることになります。

2.固定資産の代金を決済した時の仕訳

次に代金の支払い時の仕訳を見ていきます。外貨建て取引のポイントは取引が発生した時の為替レートで換算することです。上記の未払金100ドルを支払うときも支払ったときの為替レートで換算して支払います。

では、上記の未払金100ドルを機械を購入してから1か月後に現金で支払ったとします。この支払時の為替レートが1ドルあたり110円であったとした場合どのように仕訳すればよいでしょうか?
為替レートが1ドルあたり110円のとき、100ドルを支払うとすれば必要な現金は日本円で次のようになります。

現金の支払額:100ドル×@110円=11,000円

固定資産を購入した時に計上した未払金は10,000円ですが、1か月後の代金支払い額は11,000円です。1,000円余計に払わなければなりません。なぜ1,000円も余計に払わなければならないのでしょうか?
これはこの1か月の間に為替レートが1ドルあたり100円から110円へと変わってしまったからです(固定資産の購入と同時に現金で支払っていたら支払は10,000円で済んだはずです)。このような為替レートの変動により生じた損益は「為替差損益」といいます。
これは実際に仕訳を切ったほうがわかりやすいかもしれません。

借方 金額 貸方 金額
未払金 10,000 現金 11,000
為替差損益 1,000

未払金100ドルを現金11,000円を使って支払います。ただし未払金100ドルは帳簿上は1か月前の為替レート(1ドル@100円)で換算した10,000円として計上されていますので、借方の「未払金10,000円」と貸方の「現金11,000円」とでは1,000円の差額が出ています。これが為替差損益となります(上記の設例であれば差額で為替差損益を計上することもできます)。

上記の設例では、この1か月間で為替レートが100円から110円へと上がってしまい、機械の取得時に現金で支払っていれば10,000円で済んだところ、1か月先に延ばしたことにより11,000円と1,000円多く払わなければならなくなったため1,000円の損が出ています。このようなときは為替差損益は向かって左の借方(いつも費用を計上する側)に発生します。

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