為替差損益の仕訳の基礎

為替差損益(かわせさそんえき)とは、為替相場の変動によって発生した損益を処理する勘定科目を言います。

ここでは為替差損益の仕訳の基本的な考え方について具体例をあげながらご説明いたします。

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為替差損益の仕訳例

外貨建て取引の仕訳は取引が発生した時の為替レートを使って外貨表示の取引金額を円貨に換算し、日本円で記帳します。

例えば海外の取引先に商品を300ドルで販売し代金を売掛金とした時、為替レートが1ドルあたり100円であった場合は次のように100ドルを日本円に換算して仕訳することになります。

300ドル×@100円=10,000円

借方 金額 貸方 金額
売掛金 30,000 売上 30,000

日本の会社の場合は記帳や仕訳は日本円で行う必要がありますので、300ドルの商品を販売した場合も商品代金の300ドルをその時点における為替レートを使用して日本円になおして仕訳する必要があります。
この具体例の場合、商品を販売した時点での1ドルあたりの価値が100円ですので、300ドルの日本円での価値は30,000円となります。したがって30,000円の商品の売上として仕訳することになります。

次にこの売掛金300ドルを現金で回収した時の為替レートが1ドルあたり90円となっていたとしましょう。帳簿に計上されている売掛金は30,000円ですが、受け取る現金の日本円での価値は1ドルあたり90円ですので

現金300ドル×90ドル=27,000円

となり、売掛金300ドル回収時の仕訳は以下のようなります。

借方 金額 貸方 金額
現金 27,000
(300ドル)
売掛金 30,000
(300ドル)

上記の仕訳では、借方と貸方(右側と左側)とでは金額が一致していません。
これは売掛金300ドルを日本円に換算した時点と現金300ドルを日本円に換算した時点では、換算に利用した為替レートが異なることが原因となっています。

売掛金300ドルを日本円に換算した為替レートは1ドル@100円
現金300ドルを日本円に換算した為替レートは1ドル@90円

簿記の仕訳では貸借(右と左)の金額を一致させる

必要があります。
上記の仕訳も、借方(むかって左側)に以下のように3,000円を補充し、借方と貸方との金額を一致させる必要があります。

借方 金額 貸方 金額
現金 27,000 売掛金 30,000
為替差損益 3,000

この差額が為替相場の変動を原因として発生した差額であり、これを為替差損益として仕訳することになります。
この設例では、借方(向かって左側)に為替差損益が発生しています。これは商品の販売時に計上した売掛金30,000円について、為替相場が1ドル100円から90円へと下がった(円高になった)ことによって、現金の回収時には27,000円と価値が下がってしまったことによって発生した費用(損失)となりますので、他の費用を表す勘定科目と同様に借方に記帳されることになります。

一方、仮に現金の回収時の為替レートが1ドルあたり@110円になっていた場合の仕訳は以下のようになります。

300ドル×@110円=33,000円

借方 金額 貸方 金額
現金 33,000 売掛金 30,000
為替差損益 3,000

今度は差額(為替差損益)が貸方(向かって右側)に発生しています。
これは商品の販売時に計上した売掛金30,000円について、為替相場が1ドル100円から110円へと上がった(円安になった)ことによって、現金の回収時には33,000円と価値が上がったことによって発生した収益(利益)となりますので、他の収益を表す勘定科目と同様に貸方に記帳されることになります。

為替差損益が借方(向かって左側)に発生=損失
為替差損益が貸方(向かって右側に発生)=利益

なお、為替差損益は売掛金や買掛金などを決算時において決算時の為替レートで換算しなおした場合などにも発生します(詳しくは外貨建資産・負債の決算時の換算とは(基本)も併せてご参照ください)。

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