外貨建取引(取引通貨がドルやユーロなどの外貨で行われる取引)の仕訳では、外貨で表示された取引価格を、取引が発生した時の為替相場を使って日本円に換算し、その日本円を使って仕訳することになります。
したがって、一般的な輸出取引など外貨建で商品の販売を行ったときは販売時の為替相場を使って外貨表示の販売金額を円に換算し、円で売上を計上します。
なお、商品の販売に先だって前受金を受け取っている場合には、事前に計上した円貨での前受金を売上金額に充当し、残りの金額を商品販売時の為替相場で外貨から円に換算して売上金額を計算します。
日本円での売上金額=前受金(※1)+売掛金など(※2) |
※前受金は前受金受取時にその時点での為替相場を使って換算した金額です
※売掛金など(売掛金のほか、現金預金など)は商品販売時の為替相場を使って換算した金額
では、具体例で数値を追いながら外貨で商品を売り上げた時の仕訳の流れをご確認ください。
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外貨建取引-商品売上時の仕訳例
ヨーロッパの得意先へ商品10ユーロを輸出した。商品の販売価格10ユーロうち、2ユーロは事前に受け取った前受金を充当し、のこりの8ユーロを売掛金とした(前受金受け取り時の為替相場は1ユーロ120円、商品販売時の為替相場は1ユーロ110円)。
この輸出取引について、商品販売時(輸出時)の仕訳を示しなさい。
1.外貨から円貨への換算する
外貨建取引の仕訳の第一歩は、外貨で表示された取引金額を日本円に換算することから始めます。外貨建取引の換算レートの基本的なルールは、取引が発生した時の為替相場を使って日本円に換算することですので、外貨で商品を販売した時も、商品販売時の為替レートを使って、外貨を日本円に換算し日本円での売上金額を算定します。
なお、この設例においては事前に前受金として2ユーロを受け取っていますが、前受金はその受け取り時においてその時のレートですでに円貨に換算されて帳簿に計上されていますので、商品販売時に新たに換算する必要があるのは商品の販売金額10ユーロから前受金受け取り額の2ユーロを差し引いた8ユーロの部分だけとなります。
前受金:2ユーロ×@120円=240円(前受金は前受金受取時の為替相場で換算) 売掛金:8ユーロ×@110円=880円(残りの8ユーロは商品販売時の為替相場で換算) 売上金額:前受金2ユーロ(240円)+売掛金8ユーロ(880円)=10ユーロ(1,120円) |
2.算定した日本円で仕訳を行う
前受金の受取金額2ユーロ(日本円では240円)と新たに計上する売掛金8ユーロ(880円)はわかりました。売上計上額はこれらの合計となりますの仕訳は以下のようになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
前受金 | 240 | 売上 | 1,120 |
売掛金 | 880 |
外貨建取引の仕訳の流れは、
1.まず外貨で表示された取引金額を日本円に換算(変換)する
2.その日本円を使って仕訳する
となります。この基本的な流れは必ず押さえておいてください。
外貨で商品を売り上げた時の仕訳では、もし事前に前受金を受け取っているのであれば、その前受金については前受金を受け取ったときの為替相場で換算し、残りの金額だけを商品を販売した時の為替相場で換算するという点にご注意ください。
(このページと関連するページ)
外貨で前受金を受け取った時の仕訳の基礎(外貨建取引)
外貨で売掛金を回収した時の仕訳の基礎(外貨建取引)
外貨で商品を仕入れた時の仕訳の基礎(外貨建取引)