その他有価証券の基礎(購入した時の仕訳)

その他有価証券とは、売買目的有価証券・満期保有目的債券・子会社株式・関連会社株式以外の有価証券をいいます。

株式や国債・社債などの有価証券は、どのような目的でその有価証券を購入したのかにより簿記における仕訳処理などが異なります(たとえば、短期的な売り買いにより利益を得る目的で取得した有価証券は売買目的有価証券という区分に分類されます)。
しかし、有価証券の取得する目的は売買目的や子会社として支配する目的のほかにも、その企業のおかれた状況や事情により様々な目的で取得することが考えられます(お付き合いで保有する株式や、短期的な売買は予定していませんが市場価格が上がれば売るかも知れない有価証券など多様な目的があります)。

売買目的や子会社支配目的以外で取得した有価証券についても、その取得目的や保有目的に応じて、有価証券の分類をさらに細分化し、それぞれについて会計処理を規定していくにも限界があります。

したがって現行の会計基準では、売買目的有価証券や満期保有目的有価証券・子会社株式・関連会社株式以外の有価証券については、その他有価証券というくくりで一括し、その多様な正確に応じた会計処理が定められることとなっています。
会社がその他有価証券を取得した時は「その他有価証券」という勘定科目を使って記帳します。

たとえば、現金10,000円でその他有価証券を購入した場合は以下のように仕訳します。

借方 金額 貸方 金額
その他有価証券 10,000 現金 10,000

会社がその他有価証券を購入した時は、「その他有価証券」という資産グループの勘定科目を使って仕訳することになります。
資産グループの勘定科目の仕訳ルールは、増加は左側(借方)、減少は右側(貸方)に記帳することです。したがって左側(借方)に「その他有価証券 10,000円」と記入します(反対側の右側(貸方)は代金として支払った「現金 10,000円」を記入します)。
では、下記の具体例でその他有価証券を購入した時の取引の仕訳を問題形式でご確認ください。

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その他有価証券を購入した時の基本的仕訳例

業務上の関係を有するD社の株式を50,000円で購入し、代金は現金で支払った。なおD社株式は売買や子会社・関連会社とすることを目的に取得したものではなく、その他有価証券に分類されるものとする。

借方 金額 貸方 金額
その他有価証券 50,000 現金 50,000

売買目的有価証券・満期保有目的の債券・子会社株式・関連会社株式のいずれにも当てはまらない有価証券をその他有価証券といい、その他有価証券を購入した時は、「その他有価証券」という勘定科目を使って記帳します。

上記設例の仕訳については、D社株式を購入することにより、その他有価証券という資産が50,000円増加しますので、左側(借方)に「その他有価証券 50,000円」と記入してください。同時に現金という資産が50,000円減少していますので右側(貸方)は「現金 50,000円」となっています。

なお、仕訳で使用する勘定科目については「その他有価証券」のほかに「有価証券」「投資有価証券」などの勘定科目を使用する場合もありますので、試験問題などでは問題文の指示に従ってください(「有価証券」「投資有価証券」勘定の使い分けについては、有価証券の表示をご参照ください)。

(このページと関連するページ)
売買目的有価証券の基礎(購入した時の仕訳)
満期保有目的債券の基礎(購入した時の仕訳)
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関連会社株式の仕訳の基礎(関連会社とは)
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