株式や債券(有価証券)の簿記上の分類について

会社はどのような目的で株式や国債・社債などの有価証券を保有するのでしょうか?
安いときに買って高いときに売る(いわゆる相場変動による差額利益を得る)ことを目的として株式を保有する場合、あるいは子会社を支配するために株式を保有する場合、債券であれば余剰資金を運用するために国債や社債を保有する場合など様々な理由が考えられます。

しかし、短期的に売買する目的で保有する株式と長期間保有することが前提の子会社の株式とでは、その会社にとっての価値や意味合いが異なることが考えられます。
そこで簿記や会計の世界では、会社がどんな目的で株や債券をもっているかにより、それぞれ異なる仕訳や決算時の評価方法が定められています。

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会計上の有価証券の分類について

簿記や会計では、会社がどのような目的で株式や債券などの有価証券を保有するかにより、以下のように有価証券を分類し、異なる処理方法を定めています(金融商品に関する会計基準15項以下参照)。

売買目的有価証券 時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券をいいます。
すなわち、短期的な売買による売却損益を得ることを目的として取得した有価証券がこれにあたります。

売買目的有価証券を取得した時は「売買目的有価証券」勘定を使って仕訳し、決算時には時価に評価替えを行います。なお時価評価の際に生じた評価差額は当期の損益として処理することになります。

満期保有目的の債券 満期まで(最後まで)所有する目的で保有する社債やその他の債券をいいます。

満期保有目的証券を取得した時は「満期保有目的証券」勘定を使って仕訳します。満期保有目的の債券は原則として取得原価で貸借対照表に計上するため、評価替えの必要はありませんが、特定の場合に償却原価法という方法で算定された価額で評価する必要がある場合もあります。

子会社株式 保有している子会社の株式は「子会社株式」という勘定科目を使って仕訳します。
子会社株式については取得原価で貸借対照表に計上するため、評価替えの必要はありません。
関連会社株式 子会社ではないものの、一定割合の株式を保有しており影響力を行使することができるような会社を関連会社といいます。
保有している関連会社の株式は「関連会社株式」という勘定科目を使って仕訳します。
関連会社株式についても子会社株式同様に取得原価で貸借対照表に計上するため、評価替えの必要はありません。
その他有価証券 上記のいずれにもあてはならないものをいいます。
仕訳については、その他有価証券については「その他有価証券」勘定を使って仕訳します

その他有価証券は時価で貸借対照表に計上するため、決算時において評価替えを行う必要があります。
ただし、売買目的有価証券とは異なり評価差額をそのまま当期の損益とすることはできません。その他有価証券の評価差額の処理方法には全部純資産直入法または部分純資産直入法という2つの方法があり、それぞれの方法に従って処理することになります。

表示については、上記では一般的な名称を使用しています。試験問題などでは問題文の指示に従ってください。

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