外貨建取引(取引通貨がドルやユーロなどの外貨で行われる取引)の仕訳では、外貨で表示された取引価格を、取引が発生した時の為替相場を使って日本円に換算し、その日本円を使って仕訳することになります。
したがって、外貨建で商品の仕入を行ったときは仕入時の為替相場を使って外貨表示の仕入金額を円に換算し、円で仕入を計上します。
なお、商品仕入に先だって前払金を支払っている場合には、事前に計上した円貨での前払金を仕入金額に充当し、残りの金額を商品仕入時の為替相場で外貨から円に換算して仕入金額を計算します。
日本円での仕入金額=前払金(※1)+買掛金など(※2) |
※前払金は前払金支払時にその時点での為替相場を使って換算した金額です
※買掛金など(買掛金のほか、現金預金など)は商品仕入時の為替相場を使って換算した金額です
言葉だけではわかりづらい点のございますので、下記の具体例で数値を追いながら外貨で商品を仕入れた時の仕訳をご確認ください。
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外貨建取引-商品仕入時の仕訳例
アメリカの仕入先から商品100ドルを仕入れた。仕入代金100ドルのうち、10ドルは事前に支払った前払金を充当し、残額の90ドルは買掛金とした(前払金支払時の為替相場は1ドル90円、商品仕入時の為替相場は1ドル100円)。
この取引の仕訳を示しなさい。
1.外貨から円貨への換算する
外貨建取引の仕訳の第一歩は、外貨で表示された取引金額を日本円に換算することから始めます。外貨建取引の換算レートの基本的なルールは、取引が発生した時の為替相場を使って日本円に換算することですので、外貨で商品を仕入れた時も、商品仕入時の為替レートを使って、外貨を日本円に換算し日本円での仕入金額を算定します。
なお、この設例においては事前に前払金10ドルを支払っていますが、前払金はその支払時においてその時のレートですでに円貨に換算されて帳簿に計上されていますので、商品仕入時に新たに換算する必要があるのは仕入金額100ドルから前払金支払額の10ドルを差し引いた90ドル部分となります。
前払金金額:10ドル×@90円=900円(前払金は前払金支払時の為替相場で換算) 買掛金金額:90ドル×@100円=9,000円(残りの90ドルは商品仕入時の為替相場で換算) 仕入金額:前払金10ドル(900円)+買掛金90ドル(9,000円)=100ドル(9,900円) |
2.算定した日本円で仕訳を行う
前払金の支払額10ドル(日本円では900円)と買掛金計上額(日本円では9,000円)はわかりました。仕入計上額はこの合計ですので次のように仕訳を行います。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
仕入 | 9,900 | 前払金 | 900 |
買掛金 | 9,000 |
外貨建取引の仕訳の流れは、
1.まず外貨で表示された取引金額を日本円に換算(変換)する
2.その日本円を使って仕訳する
となります。この基本的な流れは必ず押さえておいてください。
外貨で商品を仕入れた時の仕訳では、前払金が前払金支払時の為替相場で換算し、残りの金額だけを商品を仕入れた時の為替相場で換算するという点にご注意ください。
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