市場販売目的のソフトウェアを無形固定資産として計上した場合、決算時に他の資産と同様に減価償却をおこなう必要があります。
市場販売目的のソフトウェアの減価償却費の計算は、見込販売数量に基づく方法(または見込販売収益に基づく方法)によって算定します。ただし、毎期の減価償却額は、残存有効期間に基づく均等配分額を下回ってはならないことになっています。
言葉でだけでは大変わかりずらいとおもわれますので、以下具体的な数値を挙げてご説明いたします。
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市場販売目的のソフトウェア償却時の計算・仕訳例
×1年期首に取得した市場販売目的のソフトウェアの取得原価は1,000円であり、見込み有効期間は3年、その期間における見込販売数量は以下の通りであった。×1年および×2年の減価償却費を計算し、償却費を計上する仕訳を示しなさい。
×1年 | ×2年 | ×3年 | 合計 | |
見込販売数量 | 40個 | 35個 | 25個 | 100個 |
※ 各年度の実際の販売数量は見込数量と一致するものとする。
×1年のソフトウェア償却時の計算・仕訳例
市場販売目的のソフトウェアの減価償却費の計算は、当該ソフトウェアの見込販売数量(または見込販売収益)に基づく方法により算定します。上記設例よりソフトウェアの取得原価が1,000円、その見込販売数量の合計が100個で当期の実際の販売数量が40個であった場合、見込販売数量に基づく償却費の計算は以下のようになります。
減価償却費:取得原価1,000円×当期の販売数量40個÷見込販売数量の合計100個=400円
ただし毎期の減価償却額は、残存有効期間に基づく均等配分額(取得原価を残存有効期間で割った数値)を下回ってはならないことになっています。この残存有効期間に基づく均等配分額とは、期首の帳簿価額(ソフトウェアの未償却残高)を残りの有効期間で按分した数値をいいます。
上記設例より取得原価1,000円のソフトウェアの残存有効期間を3年であるとした場合、その均等配分額の計算は以下のようになります。
均等配分額:未償却残高1,000円÷残存有効期間3年=333円
本年度ソフトウェアの減価償却費の計算は、上記(1)の見込販売数量に基づいて計算した数値と(2)残存有効期間に基づいて計算した均等配分額のうち、いずれか大きい金額となりますので、その計算をまとめると次のようになります。
(1) 見込販売数量に基づく減価償却費 (2) 残存有効期間に基づく均等配分額 (1)と(2)のうち大きい金額は(1)の400円なので、当期の減価償却費は400円 |
ソフトウェアなど無形固定資産の減価償却費の記帳は直接法(減価償却累計額勘定は使わず、減価償却費を固定資産勘定から直接引く方法)により行いますので、1年目のソフトウェアの償却費を計上した時の仕訳は以下のようになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
ソフトウェア償却 | 400 | ソフトウェア | 400 |
×2年のソフトウェア償却時の計算・仕訳例
×1年と同様に見込販売数量に基づく金額と残存有効期間に基づく均等配分額とを比較し、大きい方の金額を×2年のソフトウェアの減価償却費として計上します。その計算をまとめると次のようになります。
(1) 見込販売数量に基づく減価償却費 (2) 残存有効期間に基づく均等配分額 (1)と(2)のうち大きい金額は(1)の350円なので、当期の減価償却費は350円 |
※ 見込販売数量は×2年の実際の販売数量35個と×3年における見込販売数量25個との合計である60個
×2年の減価償却費は350円となりますので減価償却費計上のための仕訳は以下のようになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
ソフトウェア償却 | 350 | ソフトウェア | 350 |
×3年のソフトウェア償却時の計算・仕訳例
×3年は最終年度となりますので、未償却残高をそのまま減価償却費として計上します。
×3年度の償却費:取得原価1,000円-400円-350円=250円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
ソフトウェア償却 | 250 | ソフトウェア | 250 |
(このページと関連するページ)
ソフトウェア(自社利用目的)の減価償却費の計算・仕訳