剰余金の配当時の会計処理(未払配当金計上時の仕訳)

株主(投資家)は、株式会社にお金を出資することにより、会社の重要な意思決定の場(株主総会)に参加したり、会社の獲得した利益の分配を受け取ることができます。

会社は出資してくれた株主に対し、その見返りとして、会社の事業活動によって獲得した利益の一部を株主に対し分配することになりますが、株主に利益を分配することを剰余金の配当といいます。
会社が配当金の支払い(剰余金の配当)を行う場合の手順は以下の通りです。

1.株主総会決議などにより株主に配当金を支払うことを決定する。
2.株主に配当金としてお金を支払う

手順2の株主に配当金を実際に支払った時の処理は剰余金の配当時の会計処理(配当金支払時の仕訳)をご参照ください。

手順1.株主総会決議などにより株主に配当金を支払うことを決定する

株式会社がその株主に対し配当金を支払うことは株主総会などにおいて決定されます。株主総会で株主に対し配当金を支払うことが決定された場合、配当するための金額を繰越利益剰余金勘定(純資産)から未払配当金勘定(負債)へと振り替えることになります。
たとえば、株主総会において1,000円の配当金を支払うことが決議された場合、以下のような仕訳を切ることになります。

借方 金額 貸方 金額
繰越利益剰余金 1,000 未払配当金 1,000

会社が獲得した利益は繰越利益剰余金という純資産の勘定科目にストックされています。したがって株主に対し配当金を支払う場合はこの繰越利益剰余金を減少させ、これを株主に分配することになります。
また、会社が株主に対し配当金を支払うことは株主総会で決議されますが、実際に金銭を支払うのは株主の後日となりますので、減少した繰越利益剰余金は未払配当金という負債勘定へと振り替えることになります。

なお、株主に対する配当金の支払いと同時に一定の金額を利益準備金(会社法という法律によって会社内部にストックしておくことが求められるお金)の積み立てなどが行われる場合もあります。この場合も繰越利益剰余金から利益準備金(純資産)へと振り替えるための処理を行うことになります(利益準備金の要積立金額の計算については配当金支払い時の利益準備金積立額の計算方法をご参照ください)。

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配当金の支払い-配当金支払の決議があった時の仕訳例

本日、株主総会が開催され、株主に対し配当金100,000円を配当すること、及び利益準備金10,000円を積み立てることが決定された。

借方 金額 貸方 金額
繰越利益剰余金 110,000 未払配当金 100,000
利益準備金 10,000

剰余金の配当が決議され、配当金として100,000円を株主に分配し、利益準備金として10,000円を積み立てることが決議されていますので、その合計金額である110,000円を左側(借方)に「繰越利益剰余金110,000円」と記入してください。
また株主総会決議により、株主に対し100,000円を支払わなければならない義務が発生しますので貸方(右側)に「未払配当金100,000円」と記入し、負債が発生したことを記帳します。

さらに、あらたに利益準備金という純資産が増加していますので貸方に「利益準備金10,000円」と記入することになります。

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