定率法による減価償却費の算定

減価償却費の計算方法には、おもに定額法と定率法とがあります。このうち、定率法とは毎年、期首の帳簿価額に一定率を乗じた金額を減価償却費を計上する方法です。
定率法の減価償却費を計算するための要素として、次の3つの要素が必要となります。

取得価額 固定資産の購入価格または製造原価など、固定資産を取得するために要した金額をいいます。
期首未償却残高 固定資産の取得原価から、前期末までの償却費の累計額を控除した残額であり、減価償却費の記帳方法別に以下の金額と一致します。

直接控除方式の場合:固定資産の期首帳簿価額
間接控除方式の場合:固定資産の期首帳簿価額-期首減価償却累計額

償却率 定率法では期首未償却残高に一定率を乗じることにより、毎期の減価償却費を算定します。この一定率を償却率といいます。償却率は耐用年数ごとに決まっており、簿記検定などでは通常は問題文で与えられます。

上記の計算要素を使用し、以下のような計算式で減価償却費を計算します。

定率法の減価償却費=期首未償却残高×償却率

定額法における減価償却費は、取得原価を耐用年数で按分することによって算定します。取得原価自体は常に一定のため、これを耐用年数で按分することによって求められる減価償却費も毎期一定となります。
いっぽう、定率法の減価償却費は、期首の未償却残高に償却率を乗じて算定します。期首の未償却残高は毎期減価償却費を計上することによって逓減しますので、これに償却率を乗じて算定する減価償却費も毎期逓減することになります(償却初期の減価償却費ほど大きくなります)。

では、下記の具体例をもとに定率法の減価償却費の計算方法をご確認ください。

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定率法による減価償却費の計算

1.当社は×1年4月1日(期首)において以下の機械(固定資産)を購入した。×2年3月31日(期末)における当該機械の減価償却費に関する仕訳を示しなさい(減価償却費の記帳方法は間接法によること)。

機械の取得原価:1,000,000円
償却率:0.100

(計算過程)
上記の定率法の減価償却費を求める式に上記の計算要素を当てはめると以下のようになります。

減価償却費=(取得原価1,000,000円-減価償却累計額0円)×償却率0.100=100,000円

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 100,000 機械 100,000

2. ×3年3月31日(機械購入後2年目の決算時)当該機械の減価償却費に関する仕訳を示しなさい。

(計算過程)
機械使用2年目の減価償却費の計算です。期首未償却残高は取得原価1,000,000円から1年目の減価償却費100,000円を控除した金額となる点をご確認ください。

減価償却費=(取得原価1,000,000円-減価償却累計額100,000円)×償却率0.100=90,000円

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 90,000 機械減価償却累計額 90,000

なお翌年度の期首未償却残高は取得原価1,000,000円から1年目と2年目の減価償却費を合計した190,000円を控除した金額となります。

×3年4月1日の機械の未償却残高:1,000,000円-(100,000円+90,000円)=810,000円

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