売上割戻引当金の基礎(繰入時の仕訳)

商品を売買する場合において、一定の期間内に一定数量以上の商品を購入してくれたお客さんに対し、購入代金の一部を減額(リベート・売上割戻)することがあります。
当期に販売した商品に対するリベートを当期中におこなうのであればリベートを支払った時に支払額を売上割戻として処理すればよいのですが、当期に販売した商品に関するリベートの支払いが来期以降となる場合もあります。

会計の世界には、費用の計上はお金を実際に支払った時にその全額を計上するのではなく、その事実(またはその原因)が発生した時に計上するべきであるという考え方(発生主義といいます)があります。であるならば、たとえ来期以降に支払うリベートであっても、当期に販売した商品に対して支払われるものであるならば、当期に販売した商品に関する部分は今年の経費として処理するべきと考えることができます。

翌期に支払うリベートのうち、当期に販売した商品に係る部分の金額を当期の費用として計上する場合に使用する勘定科目を「売上割戻引当金繰入」といいます。
たとえば来期に支払うリベート200円のうち、100円が当期に販売した商品に関して支払うものである場合、借方は次のように仕訳を切り、100円を当期の費用として処理します。

借方 金額 貸方 金額
売上割戻引当金繰入 100

いっぽう、貸方についてはまだリベートを実際には払っていませんので、現金や預金などを持ってくることはできません。
このように将来の支出のうち、当期の負担に属する金額を当期の費用として処理する場合、貸方(費用の相手側)には「〇〇引当金」という勘定科目を使用します。

この仕訳例では将来の修繕に対するものですので「売上割戻引当金」という勘定科目を使用します。

借方 金額 貸方 金額
修繕引当金繰入 100 売上割戻引当金 100

引当金とは、会計的には「将来の特定の費用や損失であって、その原因が当期以前の事象に起因し、かつその発生の可能性が高く金額を合理的に見積もることができる場合に、当期の負担に属する金額を当期の費用として計上する場合に貸方に使用する勘定科目」といえます(会計的な話が難しい場合は気にせず、仕訳のカタチだけ覚えておいてください)。

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売上割戻引当金の計上した時の仕訳例

商品10,000円を掛けで販売した。なお販売額の1%について売上割戻引当金を計上した場合の仕訳を示しなさい。

(解答)

借方 金額 貸方 金額
売掛金 10,000 売上 10,000
売上割戻引当金繰入 100 売上割戻引当金 100

売上金額10,000円の1%について売上割戻引当金を計上しますので、10,000円×1%=100円について売上割戻引当金繰入を計上します。

売上割戻引当金繰入は将来に支払う支出(売上割戻)のうち、当期に発生の原因のある分は事前に当期の費用として処理するために計上する費用勘定です。
よって費用の勘定科目となりますので、左側(借方)に「売上割戻引当金繰入 100円」と記入してください。右側(貸方)は「売上割戻引当金 100円」となります。

来期以降において実際にリベート(売上割戻)を支払った場合には売上割戻引当金を取り崩すことになりますが、売上割戻引当金の取り崩しについては売上割戻引当金を取り崩した時の仕訳の基礎をご参照ください。

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