費用の繰延の基礎(決算整理仕訳)

家賃や各種メンテナンスなどの費用は、支払った時ではなく、実際にサービスを受けた期間の費用となります。サービスを受けた時にお金を払っていれば特に問題はないのですが、例えば半年分や1年分の家賃などを前払いした場合、決算時において支払った金額のうち、未だにサービスを受けていない金額を費用から削除するための調整が必要となる場合があります。

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費用を前払した時の決算時の調整-費用の繰延処理

ここで3月31日決算の会社が12月1日に1年分の事務所家賃12,000円を前払した時を考えてみましょう。
家賃を支払った時は支払家賃などの勘定を使って支払時の費用として計上します。

借方 金額 貸方 金額
支払家賃 12,000 現金 12,000

上記の支払家賃は今年度の12月から翌年度の11月までの1年分(12か月分)の家賃となります。しかしこの会社の決算日は3月31日ですので、今年度に事務所を借りるというサービスを受けたのは12月から3月までの4か月分のみとなります。それ以降の8か月分は決算日以降の期間にサービスを受けることになります。
このように翌期以降の期間に対応する費用を当期に前払いした時は、決算日において翌期以降に対応する部分を当期の費用からマイナスする必要があります。上記の場合、前払いした事務所家賃のうち8か月分は翌期の費用となりますので以下のように仕訳を切ります。

借方 金額 貸方 金額
前払費用 8,000 支払家賃 8,000

支払った1年分(12か月分)の家賃のうち、次期以降(4月以降の8か月分)の期間に対応する家賃は以下のように求めます。

12,000円(1年分の家賃)×8か月/12か月=8,000円

この8,000円は当期の費用ではありませんので、支払家賃の貸方に8,000円と記入することにより、当期の家賃から減額します。いっぽう、この8,000円は次期以降に事務所を貸してもらえる権利を表しますので、前払費用という資産勘定の借方に記入し、資産として翌期に繰り越すこととなります。

このように当期に支払った金額のうち、翌期以降の期間に対応するする費用を当期の費用からマイナスし資産として翌期に繰り越すことを費用の繰延といいます(前払費用のように、費用や収益を発生した期間に正しく振り分けるために決算時に計上される資産や負債は経過勘定項目ともいいます)。
なお繰り延べられた費用は翌期の期首に反対仕訳をし、翌期の費用にプラスします。

借方 金額 貸方 金額
支払家賃 8,000 前払費用 8,000

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