費用の見越しの基礎(決算整理仕訳)

家賃や各種メンテナンスなどの費用は、支払った時ではなく、実際にサービスを受けた期間の費用となります。サービスを受けた時にお金を払っていれば特に問題はないのですが、例えば半年分や1年分の家賃などを後払いする場合、決算時において未だに支払いを行っていない金額のうち、すでにサービスの提供を受けた金額を当期の費用として計上するための調整が必要となる場合があります。

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費用を後払いする場合の決算時の調整-費用の見越処理

ここで3月31日決算の会社が1月1日に事務所家賃を借りた時のことを考えてみましょう。なお家賃は1年後の12月31日に1年分12,000円をまとめて後払いします。

ではまず事務所の賃借を始めた1月1日の仕訳を見てみると以下のようになります。

借方 金額 貸方 金額
仕訳なし

事務所の家賃は1年後の12月31日に1年分をまとめて支払ます。したがって家賃の支払いの仕訳はこの時点においては必要ありません。
しかしこの会社の決算日は3月31日ですので、決算日の時点において、1月1日から3月31日まで3か月間事務所を借りるというサービスを受けていることとなります。
このように翌期以降に支払う費用のうち、既に当期にサービスの提供を受けた分については、決算日において当期にサービスを受けた期間に対応する部分を当期の費用として計上する必要があります。上記の場合、12月31日に支払う事務所家賃のうち3か月分は当期の費用となりますので以下のように仕訳を切ります。

借方 金額 貸方 金額
支払家賃 3,000 未払家賃 3,000

未払いの家賃1年分(12か月分)のうち、今期(1月から3月までの3か月)の期間に対応する家賃は以下のように求めます。

12,000円(1年分の家賃)×3か月/12か月=3,000円

この3,000円は、決算日の時点では未だに支払われてはいませんが当期の期間に対応する家賃ですので当期の費用です。支払家賃の借方に3,000円と記入することにより、当期の家賃に追加計上します。いっぽう、この3,000円は未だに支払われてはいませんので、後日支払わなければならない義務を表します。したがって未払費用という負債勘定の貸方に記入し、負債として翌期に繰り越すこととなります。

このように翌期に支払う予定の金額のうち、当期の期間に対応するする費用を当期の費用として計上し、負債として翌期に繰り越すことを費用の見越といいます(未払費用のように、費用や収益を発生した期間に正しく振り分けるために決算時に計上される資産や負債は経過勘定項目ともいいます)。
なお見越し計上された費用は翌期の期首に反対仕訳をし、翌期の費用からマイナスします。

借方 金額 貸方 金額
未払費用 3,000 支払家賃 3,000

(このページと関連するページ)
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