委託販売(いたくはんばい)の販売時の仕訳の基礎

委託販売では、受託者に商品を発送した段階ではまだ商品の売上を計上することはできません。受託者に発送しただけでは、まだお客さんに商品を販売したとは言えないからです(商品発送時の処理は委託販売(いたくはんばい)発送時の仕訳の基礎をご参照ください)。

委託販売において、委託者が売上を計上することができるのは、受託者が実際にお客さんに商品を販売した日となります(これを販売基準といいます)。
ただし、受託者から販売のつど売上計算書(仕切精算書)を送付されている場合には、事務処理の観点から売上計算書が到達した日をもって売上計上してもよいことになっています(これを仕切計算書到達日基準といいます)。

受託者から商品販売の連絡があった時(または売上計算書が到着した時)は、受託者の販売した販売価格をもって積送品売上を計上すると同時に、販売価格から受託者に対する手数料や受託者が立替えた諸経費である積送諸掛を控除した残高を積送売掛金として記帳することになります。
例えば、受託者の販売した商品の販売価格が1,000円、受託者に支払う手数料が100円とした場合は以下のように仕訳を行います。

借方 金額 貸方 金額
積送諸掛 100 積送品売上 1,000
積送売掛金 900

いっぽう積送品を受託者に発送した時、発送した積送品の原価を仕入勘定から積送品勘定へと振り替えていましたが、販売した商品の原価を再び積送品から仕入勘定へと振り替えます
たとえば、上記の販売した商品の原価が500円であった場合は以下のような仕訳を行います。

借方 金額 貸方 金額
仕入 500 積送品 500

会社のその期の売上原価は仕入勘定で集計しますので、この仕訳により積送品販売に係る商品の売上原価を仕入勘定へ集計することになります。

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委託販売-販売時の仕訳例

当社は委託販売のため、委託先(受託者)であるA社に1個当たりの仕入原価100,000円の商品10個を発送した。その後、A社より発送した商品のうち7個を840,000円で販売した旨の連絡が届いた。商品販売に伴いA社に支払う販売手数料は商品1個当たり10,000円であり、A社の販売価格からA社に支払う販売手数料を差し引いた残額を後日A社より受け取る予定である。商品販売時における当社(委託者)の仕訳を示しなさい(販売した商品の原価はその都度、仕入勘定に振り替えるものとする)。

1.販売した商品に関する売上計上の仕訳
借方 金額 貸方 金額
積送諸掛 70,000 積送品売上 840,000
積送売掛金 770,000

委託販売においては受託者が商品を販売した時(または売上計算書が到着した日)をもって委託者の売上収益を計上することになります。委託者は受託者A社より原価100,000円の商品7個を840,000円で販売した旨の連絡を受けていますので、840,000円を積送品売上として売上計上します。
いっぽう、委託者が受託者に支払う販売手数料は1個当たり10,000円(7個で70,000円)となりますので、販売時に70,000円を積送諸掛として費用処理し、また後日受け取る予定の金額である770,000円(販売価格840,000円から70,000円を差し引いた価格)を積送売掛金として金銭債権として計上します。

2.販売した商品の売上原価に関する仕訳
借方 金額 貸方 金額
仕入 700,000 積送品 700,000

販売した消費の売上原価を仕入勘定へ振り替えます。この問題では「販売した商品の原価はその都度、仕入勘定に振り替えるものとする」とありますので、売上収益計上と同時に売上原価の仕入勘定への振替も行います(売上原価の振り替えは期末などに一括して行う場合もありますので、試験問題では問題の指示に従ってください)。

(このページと関連するページ)
委託販売(いたくはんばい)発送時の仕訳の基礎
委託販売(いたくはんばい)の仕切精算書到達日基準の仕訳

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