法人税等調整額の表示と仕訳の基礎

税効果会計とは、損益計算書における法人税の金額を税引前当期純利益に対応した金額にするため、会計上と税務とで異なる金額を調整し、税引前当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする手続をいいます。

当期純利益が1,000円、課税所得が1,200円(法人税率は30%)で法人税等の金額360円の場合、税効果会計を適用しない場合の損益計算書の当期純利益と法人税等の表示は以下のようになります

税引前当期純利益 1,000円
法人税 -360円
当期純利益 660円

上記の損益計算書について税効果会計の適用した場合を考えます。税効果会計は損益計算書における法人税の金額を税引前当期純利益(上記1,000円)に対応した金額(1,000円×法人税等の税率30%=300円)へと調整することを目的としたものです。上記の損益計算書の法人税等を360円から300円へと調整させる必要があります。

ここで法人税等を調整する科目として使用するのが「法人税等調整額」です。損益計算書の法人税等から控除する形で60円を減額し、法人税等の金額を税引前当期純利益1,000円に法人税等の税率30%を乗じた300円へと調整します。

税引前当期純利益 1,000円
法人税 (360円)
法人税等調整額 (-60円) -300円
当期純利益 700円

課税所得1,200円と税引き前当期純利益1,000円との差額は税務と会計との間に200円の差があることが原因です。この200円(ここでは会計上は経費となるが税務上は損金とならない金額が200円有ったと考えます)に法人税の税率30%を乗じた60円だけ差額が生じ、これを調整したこととなります。

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法人税等調整額の仕訳

次に法人税等調整額を計上する際の仕訳についてみていきます。
まず法人税等を計上する場合の仕訳は以下のようになります。

借方 金額 貸方 金額
法人税等 360 未払法人税等 360

法人税等調整額の仕訳は法人税等を調整することが目的ですので、法人税等を増加調整させる場合には法人税等と同じ側(借方)、法人税等を減少調整したい場合には法人税等の反対側(貸方)に法人税等を記帳します。
上記の設例では、法人税等を360円から300円へと減額させることになりますので、法人税等と反対側の貸方に記帳します。

借方 金額 貸方 金額
繰延税金資産 60 法人税等調整額 60

法人税等360円から法人税等調整額60円を減額し、損益計算書の法人税等は300円となります。
なお法人税等調整額の相手勘定が借方に生じる場合は相手勘定は「繰延税金資産」となります。当期の法人税の実際の支払いは税務上の360円です、会計上の法人税300円との差額は法人税の前払いと考えますので、繰延税金資産として資産計上することになります(法人税等調整額の相手勘定が貸方に生じる場合には繰延税金負債という勘定科目を使用します)。

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