修繕引当金繰入時の仕訳の基礎

機械や建物などは定期的に修繕が必要です。
ではなぜ機械や建物を定期的に修繕する必要があるのでしょうか。機械や建物の修繕は災害など突発的な原因によるものもありますが、定期的な修繕の原因は長年にわたってその機械や建物を使い続けることによる摩耗や老朽化などが原因です。

会計の世界には、費用の計上はお金を実際に支払った時にその全額を計上するのではなく、その事実(またはその原因)が発生した時に計上するべきであるという考え方(発生主義といいます)があります。であるならば、たとえ来年に行う予定の修繕であっても、その修繕の原因の一部は今年その機械や建物を使ったことにもあるため、その一部を今年の経費として処理するべきと考えることができます。

翌期に行う修繕のうち、当期の負担に属する金額を当期の費用として計上する場合に使用する勘定科目を「修繕引当金繰入」といいます。
たとえば来期に行う修繕200円のうち、当期の負担として100円を当期の費用計上するとした場合、借方は次のように仕訳を切り、100円を当期の費用として処理します。

借方 金額 貸方 金額
修繕引当金繰入 100

いっぽう、貸方についてはまだ代金を実際には払っていませんので、現金や預金などを持ってくることはできません。
このように将来の支出のうち、当期の負担に属する金額を当期の費用として処理する場合、貸方(費用の相手側)には「〇〇引当金」という勘定科目を使用します。

この仕訳例では将来の修繕に対するものですので「修繕引当金」という勘定科目を使用します。

借方 金額 貸方 金額
修繕引当金繰入 100 修繕引当金 100

引当金とは、会計的には「将来の特定の費用や損失であって、その原因が当期以前の事象に起因し、かつその発生の可能性が高く金額を合理的に見積もることができる場合に、当期の負担に属する金額を当期の費用として計上する場合に貸方に使用する勘定科目」といえます(会計的な話が難しい場合は気にせず、仕訳のカタチだけ覚えておいてください)。

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修繕引当金の計上した時の仕訳例

令和3年3月31日決算日を迎えた。当社は令和3年6月30日に建物の定期修繕(毎回15か月ごとに行っている)を予定しており、修繕にかかる費用は合理的に150,000円と見積もっている。
当期の期間を12か月、来期の修繕までの期間を3か月とし、決算時に修繕引当金を計上するために必要な仕訳を示しなさい。

(解答)

借方 金額 貸方 金額
修繕引当金繰入 120,000 修繕引当金 120,000

来期6月30日の修繕費のうち、当期の負担に属する金額を修繕引当金として計上します。
定期修繕の周期は15か月、そのうち当期分が12か月とありますので、当期の負担は以下のように算定します。

来期の修繕費150,000円÷15か月=@10,000円
@10,000円×当期の月数12か月=120,000円

将来の修繕に備えて当期の負担分を費用として計上する場合には「修繕費引当金繰入」という費用の勘定科目を使って仕訳しますので、左側(借方)に「修繕引当金繰入 120,000円」と記入してください。右側(貸方)は「修繕引当金 120,000円」となります。

実際に修繕を行った場合には修繕引当金を取り崩すことになりますが、修繕引当金の取り崩しについては修繕引当金を取り崩した時の仕訳の基礎をご参照ください。

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