為替予約後の決算時の処理(振当処理の場合)

為替予約のうち振当処理(簿記検定2級で出題される処理方法)では、外貨建ての売掛金や買掛金に為替予約を付した場合、その予約時点で将来代金が決済される予約レートによって売掛金や買掛金を換算してしまします。

仮に商品売上と同時に売掛金1,000ドルを1ドルあたり110円で為替予約した場合、その時点で実際の為替レートに関係なく、売掛金を予約レート110円で換算してしまします(1,000ドル×@110円=110,000円)

1.為替予約時点の仕訳

借方 金額 貸方 金額
売掛金 110,000 売上 110,000

その後、代金の決済は予約レートで換算しますので、売掛金1,000ドルは予約レート@110円で換算し、これを現金で受け取ります。

3.代金決済時の仕訳

借方 金額 貸方 金額
現金 110,000 売掛金 110,000

売掛金は為替予約時点で予約レートで換算し、代金の決算も予約レートで行いますので為替予約の後に実際の為替相場がどのように変動したとしても為替予約を付した売掛金には何ら影響を与えることはありません。したがって為替予約後に為替相場の変動による為替差損益は発生しません。

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為替予約を付した場合の決算時の仕訳

では、上記の1.為替予約時3.代金の決済時との間で決算を迎えた場合、どのように処理すればよいのでしょうか?

為替予約がない場合、外貨建ての売掛金や買掛金などは、代金未決済のまま決算日を迎えると外貨建ての金額を決算時における為替レートで日本円で換算し直し、換算し直した後の金額と元々の帳簿価額との差額を決算時における損益(為替差損益)として処理することが必要となります。

しかし為替予約がある場合には、為替予約を付した時点で将来代金が決済されるレート(上記の仕訳例では予約レートの110円)で売掛金や買掛金を換算してしましますので、為替予約時から代金の決済時までの間に実際の為替相場がどのように変動したとしても決済される為替レートはすでに決まっており、しかも売掛金や買掛金そのものをその決済されるレートですでに換算していおりますので、売掛金や買掛金を保有している会社にとっては何ら影響を受けることはありません。
したがって、決算時においても決算時点の為替レートで売掛金や買掛金を換算しなおす必要はありませんので何の処理の必要はないことになります。

上記の仕訳の1.為替予約時と3.代金の決済時との間に決算を迎えたとし、決算時の為替相場は1ドルあたり90円有ったとした場合の処理(仕訳)については
決算時点での処理は不要となりますので換算替えに関する仕訳は行いません。

2.決算時の仕訳

借方 金額 貸方 金額
仕訳なし

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