商品販売業と同様にサービス業においてもサービスの提供前に代金を前受することがあります。たとえば簿記学校が受講生から受講料を前払いで受け取った場合(みなさんからすれば受講が始まる前に受講料の全額を前払いしたときなど)。
この前受けした代金はどのように仕訳すればよいのでしょうか?
サービス業の簿記において、いわゆる売上収益(サービス業の簿記では「役務収益」という勘定科目をつかいます)を計上するのはサービスを提供した時になります。
したがって、サービスの提供前に顧客より代金を受け取った時は「前受金」勘定という負債勘定を使って記帳し、サービスを提供した時において「前受金」という負債勘定から「役務収益」という売上収益の勘定へと振り替え、収益として処理することになります(基本的に商品販売の際に代金を前受した時と同じ流れになります。使用する勘定科目と決算時の取り扱いに注意ください)。
では具体例でサービス業の簿記において、代金の前受をしたときの仕訳例をご確認ください。
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サービス業で代金を前受した時の仕訳例
XX簿記学校は簿記2級の講座(全20回)の申込を受け付け、受講者から代金200,000円を前金として現金で受け取った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 200,000 | 前受金 | 200,000 |
簿記検定講座の受講料として、現金200,000円を受け取っていますので「現金 200,000円」を借方(向かって左側)に記帳します。
いっぽう簿記検定講座に関する売上収益の計上は簿記検定講座を実際に行った後になりますので、簿記検定講座が始まる前に受け取った200,000円の現金は前受金となります。前受金は負債グループの勘定科目であり、増加した時にはその増加額を貸方(向かって右側)に記帳しますので、右側に「前受金 200,000円」と記帳します。
その後、簿記講座を実際に行ったときに上記の前受金は「役務収益」という収益の勘定科目へと振り替えます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
前受金 | 200,000 | 役務収益 | 200,000 |
簿記講座を実際に行って受講生(お客さん)にサービスを提供したことにより、売上収益を計上することが必要となります。サービス業の簿記では売上高の計上は「役務収益」という勘定科目を使いますので、貸方(右側)に「役務収益 200,000円」と記帳します(収益グループの勘定科目は発生した時は貸方に記帳しますので、今回も貸方に発生額を記帳します)。
いっぽう簿記学校は受講生にサービスを提供することにより、事前に代金を受け取ったことにより発生した義務(サービスの提供義務)をはたしたことになります。したがって負債として計上されていた「前受金 200,000円」円を借方(左側)に記帳することにより負債(義務)を減額します。
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