売上原価の計算と決算整理仕訳の基礎

小売業や卸売業などにおいては、他社から商品を仕入れ、これを販売することにより利益を獲得することを目的としています。
期中において、商品を他社から仕入た時は仕入勘定、お客さんに商品を販売したとは売上勘定を使って記帳することになります。

この時、売上勘定に集計された金額はそのまま損益計算書の売上高に計上され、当期の収益として処理されますが、仕入勘定に集計された金額については、これをそのまま損益計算書に当期の売上原価として計上することはできません。当期に仕入れた商品のうち、当期の売上原価として損益計算書に計上されるのは、当期に販売した商品の原価のみとなります。
したがって、決算時においては、当期の仕入高などから当期の売上原価を算定し、これを仕入勘定などにおいて集計するための処理(決算整理仕訳)を行うことが必要となります。

1.売上原価の計算方法

売上原価(当期に売り上げた商品の原価)の計算には当期の商品仕入高に期首商品棚卸高を加算し、これから期末商品棚卸高を控除して算定します。

売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高

当期商品仕入高に期首商品棚卸高を加算する理由は、期首からあった在庫は当期中にすべて販売したものと仮定するためであり、同様に期末に残っている商品は翌期以降に販売することになりますので期末商品棚卸高は売上原価から控除されることになります。

2.決算整理仕訳(仕入勘定で売上原価を集計する場合)

三分法を採用している場合、上記の通り仕入勘定には当期に仕入れた商品の原価が計上されています。したがって決算整理仕訳において、これを売上原価へと修正するための仕訳を行うことになります。
売上原価の計算は上記の通り、当期商品仕入高に期首商品棚卸高を足し、期末商品仕入高を引けばよいわけですから、仕入勘定に繰越商品勘定から期首商品棚卸高を振り替え、逆に期末商品棚卸高を仕入勘定から繰越商品勘定へと振り替えてやればよいことになります。

借方 金額 貸方 金額
仕入 (期首商品の金額) 繰越商品 (期首商品の金額)
繰越商品 (期末商品の金額) 仕入 (期末商品の金額)

上記の決算仕訳を行う前の段階では、仕入勘定の借方には当期商品仕入高が期中取引として記帳されています。これに繰越商品勘定から期首商品棚卸高を仕入勘定の借方へと振り替え、逆に期末商品棚卸高を仕入勘定の貸方から繰越商品勘定へと振り替えてやれば、仕入勘定の借方残高は期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高=売上原価をあらわすことになります。

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売上原価の計算と集計の仕訳例

当期の商品の仕入高(仕入勘定の借方残高)は100,000円、期首商品棚卸高は20,000円、期末商品棚卸高は30,000円である場合の当期の売上原価を算定し、売上原価を仕入勘定へ集計するための決算整理仕訳を示しなさい。

(1.売上原価の計算)

売上原価は当期の商品の仕入高に期首商品棚卸高を加算し、これから期末商品棚卸高を差し引くことによって算定するため、以下のように算定します。

当期の売上原価:期首商品20,000円+当期商品仕入高100,000円-期末商品30,000円=90,000円

(2.決算整理仕訳)
借方 金額 貸方 金額
仕入 20,000 繰越商品 20,000
繰越商品 30,000 仕入 30,000

期首商品棚卸高20,000円を繰越商品勘定から仕入勘定の借方へ、いっぽう期末商品棚卸高30,000円は仕入勘定の貸方から繰越商品勘定の借方へと振り替えます。これにより仕入勘定の借方に当期商品仕入勘定100,000円と期首商品棚卸高20,000円が計上され、いっぽう貸方に期末商品棚卸高30,000円が計上され、結果として売上原価90,000円が仕入勘定の借方残高として計上されることとなります。

(このページと関連するページ)
売上原価勘定で売上原価を集計する場合の仕訳の基礎

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