増資時の仕訳の基礎(払込期日の処理-資本金への振替)

株式会社を設立した後、新たに株式を発行して資本金を増加させることを増資(ぞうし)といいます。
会社が増資を行う場合の手順は以下の通りです。

1.株主を募集し、株主になりたいという希望者から資金の払い込みをうける
2.払い込まれた金額を資本金へ振り替える

上記手順のうち、「手順1.払込を受けた時の処理」については増資時の仕訳の基礎(払込時の処理-株式申込証拠金)をご参照ください。

手順2-払い込まれた金額を資本金へ振り替える時の処理

株主になりたいという希望者が実際に株主になるのは資金を払い込んだ日ではなく、払込期日です。
したがって希望者から払込期日前に受けた払込金は、いったんこれを株式申込証拠金として処理し、増資の申し込みに応じて払込を行った希望者が実際に株主となる払込期日において、払込金を株式申込証拠金勘定から資本金勘定へと振り替えることになります。
また払い込まれた資金について、払込期日までは勝手に使用することができないため別段預金として処理していましたが、これを当座預金などに振り替える処理を行います。払込期日において払込人が株主となることにより、これらのお金は株主から払い込まれた会社のお金として使用することができるようになるためです。

借方 金額 貸方 金額
株式申込証拠金 資本金
当座預金 別段預金

なおこの際、払い込まれた金額の半分までの金額を資本金としないこともできます。この資本金としなかった払込金額については資本準備金という純資産の勘定科目を使って記帳することになります(会社法上の容認処理)。

スポンサードリンク

増資時-払込期日の仕訳例

新株式発行の払込期日を迎えた。申込者より払い込まれた100,000円(株式申込証拠金)を全額資本金に組み入れると同時に、別段預金として処理していた預金残高を当座預金へ振り替えた。

借方 金額 貸方 金額
株式払込証拠金 100,000 資本金 100,000
当座預金 100,000 別段預金 100,000

増資の申込に応じて資金を払い込んだものが実際に株主となるのは増資の払込期日です。それまで申込者より受けた払込金100,000円は株式申込証拠金として処理しておき、申込期日においてこれを資本金(または資本金及び資本準備金)へ振り替えることになります。
したがって払込期日において右側(貸方)に「資本金100,000円」と記入し資本金を増加させると同時に、左側(借方)に「株式申込証拠金100,000円」と記入し、これを減少させます。
なお預金口座に振り込まれた払込金は払込期日までは会社のお金ではないため、別段預金として処理していましたが、払込期日に正式に会社のお金となるため、これを別段預金から当座預金などへ振り替えることになります。したがって左側(借方)に「当座預金100,000円」として当座預金を増加させると同時に、右側(貸方)に「別段預金100,000円」とし、これを減少させます。

スポンサードリンク