株式会社を設立するにあたって株式を発行した場合、株主から払い込まれた金額は原則としてすべて資本金という純資産の勘定科目を使って記帳することになります(詳細は株式会社設立時の仕訳の基礎(原則処理)をご参照ください)。
しかし、株式発行時に払い込まれた金額の半分までの金額を資本金としないこともできます。この資本金としなかった払込金額については資本準備金という純資産の勘定科目を使って記帳することになります(容認処理)。
では、株式を発行した時の原則的な処理方法と上記の容認処理とを比較してみましょう。
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1.株式会社の設立(原則処理)の仕訳例
会社の設立にあたり、株式10株を1株当たり1,000円で発行し、払込金額10,000円は全額を普通預金とした。なお払込金額は全額を資本金として処理するものとする(原則処理)。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
普通預金 | 10,000 | 資本金 | 10,000 |
原則処理では、株式発行による払い込み金の全額を資本金として処理することになります。したがって増加する資本金は払込金額の全額である10,000円となります。
2.株式会社の設立(容認処理)の仕訳例
会社の設立にあたり、株式10株を1株当たり1,000円で発行し、払込金額10,000円は全額を普通預金とした。なお払込金額については会社法で定める最低金額を資本金として処理するものとする(容認処理)。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
普通預金 | 10,000 | 資本金 | 5,000 |
資本準備金 | 5,000 |
容認処理では、株式発行による払い込み金額のうち半分(2分の1)までを資本金としないで処理することができます。上記の設問では資本金として計上する金額は会社法で定める最低金額とありますので、払込金額のうち資本金としない部分を半分(5,000円)、残りの半分(5,000円)を資本金として計上することになります。
なお資本金に組み入れなかった金額は資本準備金(または株式払込剰余金)などの勘定科目を使用して記帳することになります。