賞与引当金とは(繰入時の仕訳の基礎)

引当金とは来期以降に支払う支出のうち、当期の負担と考えられる金額をあらかじめ当期の費用として計上するための勘定科目を言いますが、ここでは賞与引当金についてみていきます。
賞与引当金とは、翌期に支払われるボーナス(会計の世界では賞与といいます)のうち、当期の負担分を費用として見積計上する時に使用する勘定科目をいいます。!–more–>

例えば年2回(6月と12月)とにボーナスの支払いがある会社の場合、6月のボーナスは12月から5月までの半年間働いてくれたことに対する報酬とみることができますが、この会社の決算日が3月31日であった場合、6月のボーナスの対象期間は3月の決算日をまたいでしまいます

6月のボーナスは12月から5月までの半年間働いてくれたことに対する報酬であるにもかかわらず、6月のボーナスの全額を6月の支払い月だけの経費とした場合、会社の収益を正確に知ることはできなくなってしまします(払った時に全額を経費計上してよいとした場合、支払日を調整することによって容易に利益操作できることになってしまします)。

このようなこととならないように、たとえ決算日後(上記の例でいえば6月)に支払うボーナスであっても決算日時点において既に経過している期間に対応する分(上記の例でいえば12月から3月までの4か月分)については今期の費用として計上することにが必要となります(これは会計用語で発生主義といいます)。
このように翌期に支払うボーナスのうち、当期の負担に属する金額を当期の費用として計上する場合に使用する勘定科目を「賞与引当金繰入」といいます。

たとえば来期の6月に支払うボーナス600円のうち、当期の負担として400円を当期の費用計上するとした場合、借方は次のように仕訳を切り、400円を当期の費用として処理します。

借方 金額 貸方 金額
賞与引当金繰入 400

いっぽう、貸方についてはまだボーナスを実際には払っていませんので、現金や預金などを持ってくることはできません。
このように将来の支出のうち、当期の負担に属する金額を当期の費用として処理する場合、貸方(費用の相手側)には「〇〇引当金」という勘定科目を使用します。

この仕訳例では来期に支払ボーナス(賞与)に対するものですので「賞与引当金」という勘定科目を使用します。

借方 金額 貸方 金額
賞与引当金繰入 400 賞与引当金 400

引当金とは、会計的には「将来の特定の費用や損失であって、その原因が当期以前の事象に起因し、かつその発生の可能性が高く金額を合理的に見積もることができる場合に、当期の負担に属する金額を当期の費用として計上する場合に貸方に使用する勘定科目」といえます(会計的な話が難しい場合は気にせず、仕訳のカタチだけ覚えておいてください)。

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賞与引当金の計上した時の仕訳例

令和3年3月31日決算日を迎えた。当社は令和3年6月10日に3,000,000円のボーナスを支給する予定である。当該ボーナスの計算期間(対象期間)は令和2年12月1日から令和3年5月31日までの6か月である。決算時に賞与引当金を計上するために必要な仕訳を示しなさい。

(解答)

借方 金額 貸方 金額
賞与引当金繰入 2,000,000 賞与引当金 2,000,000

令和3年6月10日に支払う賞与のうち、当期の負担に属する金額を賞与引当金として計上します。
当該賞与の計算期間は12月1日から5月31日までの6か月、そのうち当期分が3月31日までの4か月となりますので、当期の負担は以下のように算定します。

6月の賞与支払額3,000,000円÷6か月=@500,000円
@500,000円×当期の負担月数4か月=2,000,000円

翌期に支払う賞与のうち当期の負担分を費用として計上する場合には「賞与引当金繰入」という費用の勘定科目を使って仕訳しますので、左側(借方)に「賞与引当金繰入 2,000,000円」と記入してください。右側(貸方)は「賞与引当金 2,000,000円」となります。

実際に賞与を支払った時は積み立てた賞与引当金を取り崩すことになりますが、賞与引当金の取り崩しについては賞与引当金を取り崩した時の仕訳の基礎をご参照ください。

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