正常営業循環基準の基礎と適用関係

貸借対照表では資産は流動資産と固定資産に、また負債は流動負債と固定負債とに区分して記載することが求められます。
この資産と負債とをそれぞれ流動・固定に分類するための基準には、次の2つの基準があります。

1.正常営業循環基準
2.一年基準

上記のうち、正常営業循環基準とは、「通常の営業取引(または営業サイクル)によって発生した資産・負債をそれぞれ流動資産・流動負債とする」という基準をいいます。
たとえば商品販売業の営業サイクルを考えた場合、「卸売業者などから商品を仕入れて消費者に商品を販売する」となりますが、この場合、卸売業者から仕入れた商品、商品を掛けで仕入れる際に発生した債務である買掛金、消費者に掛けで商品を販売した場合の売掛金などが営業サイクルによって発生した資産・負債となりますので、正常営業循環基準においてはこれらを流動資産・流動負債として認識することになります。

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現行基準における取扱(正常営業循環基準と一年基準との適用関係)

正常営業循環基準と一年基準(ワン・イヤー・ルール)との適用関係については企業会計原則注解・注16において以下のように規定されています。

受取手形、売掛金、前払金、支払手形、買掛金、前受金等の当該企業の主目的たる営業取引により発生した債権及び債務は、流動資産又は流動負債に属するものとする。

貸付金、借入金、差入保証金、受入保証金、当該企業の主目的以外の取引によって発生した未収金、未払金等の債権及び債務で、貸借対照表日の翌日から起算して一年以内に入金又は支払の期限が到来するものは、流動資産又は流動負債に属するものとし、入金又は支払の期限が一年をこえて到来するものは、投資その他の資産又は固定負債に属するものとする。

上記では、まず最初に、正常営業循環基準を適用し、主目的たる営業取引(営業サイクル)により発生した債権及び債務を流動資産・流動負債とするものと規定しています。

その後に、企業の主目的以外の取引によって発生した債権及び債務(正常営業循環基準から外れた資産・負債)については1年基準を適用し、1年以内に入金・支払いが行われるものを流動資産・流動負債とし、一年を超えて入金・支払いが行われるものを固定資産・固定負債とすると規定しています。

すなわち企業会計原則注解・注16では、まずは正常営業循環基準を適用して流動資産・流動負債に含まれるものを規定し、これから外れるものについては1年基準を適用し、流動資産・負債または固定資産・負債とに分類するものとしています。

(関連ページ)
1年基準(ワン・イヤー・ルール)の基礎と適用

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